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『フリーキッチン』

映画

久しぶりに映画館に行きました。

見たのは『フリーキッチン』



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原作はガロ系の漫画です。
映画が気に入ったので帰りに漫画も買いました。
映画公開と合わせてか、今年の11月30日に発売した出来立てホヤホヤの短編集です。

しかし映画の原作となった短編「娘味」はなんと1997年初出!
だい~ぶ熟成させた作品だったんですね。
こうして単行本に入らない作品ってまだまだたくさんあるんだな…と改めてしみじみ感じました。

ちなみにこの単行本はあとがきで笑っちまいます。



さて映画・原作のストーリーは、母親の手料理に使われるのは人間の肉…という、いわゆるカニバリズムを中心とした作品。

重いネタに反して、予告編の爽やかな…(?)淡々とした雰囲気が気になって見に行きました。


また、こちら上映しているのが渋谷の映画館 一館のみ。
 DVDも出るか怪しいほどの小規模作品だなあ…
 劇場で、今しか観れないかもしれないなあ…
という考えもあってイソイソと足を運んだのです。


しかしこれは…
他のミニシアターでも上映できればいいのに!と思える作品でした。

あまりに気に入ったので、最終日にも見に行きました。(笑)



※これより下にいくほどネタバレ含む感想です、ご注意※
※特に重要なネタバレは白文字にしているので、読みたい方はドラッグしてください。※


舞台挨拶で監督さんも言っていましたが、まさに「日常的なカニバリズム」。
グロホラーとブラックジョークがお好きな方にはオススメです。


題材がアレなので、食事シーンは色々想像してしまいます…おいしそうな料理だから余計に。
ひとつ新しい発見だったのが、「大量の肉汁による視覚的効果」はでかいなと思いました。
カニバリズム映画は多々ありますが、この映画は特に「脂っこい料理」が多かった。
スープのように溢れ出る肉汁を見ているとこれが全部人間の脂なのか…と想像してなかなか気持ち悪い。
血しぶきじゃなくて、肉汁を見てグロを感じる。
それがまた良かったです。


あと、音が…(^_^;)
音フェチ動画みたいな、咀嚼音の生々しさが人肉食をさらに気持ち悪くさせる。
だがそれがいい

エロ(ラブシーン)を全く含まないのも良かったです。
これを含んでいたら多分、陳腐になってた。


俳優さんもすごく作品に合ってました!
主人公の子は、目鼻立ちがはっきりした濃いめの顔で陰鬱な表情をしてもなお美形で良かったです。

最終日の舞台挨拶に来たヒロイン役の女優さんも、正統派美少女でかわええ!朝ドラに出てそうな清潔感。
実物はもっと可愛かった!トークも楽しく上手でした。


あとは、音楽も良いなと感じました。
予告で使われているあの音楽。
調子外れなあの独特な音のおかげで、ブラックジョークな雰囲気が出て楽しい。



しかしとにかく私、この映画のオチがとても好きでした。
初めて食べた彼女の料理は、おふくろの味がした。

…もう、監督ご本人に「この台詞を言うために作ったんでしょ?大喜利はお好き?」と聞きたい(笑)
徹底的に統一されたブラックジョーク…軽やかだけどダークなオチで、ほんと好き。
こういう「世にも奇妙な〜」とか星新一的な展開は大好きなのでスタッフロールの間ずっと一人でニヤニヤしてました。

「世にも〜」といえば、今作を見終わった時、何となく『美女缶』を思い出しました。
あれも未だコアな人気があり、映画から短編化された作品。
ラストで観客をドキッとさせるような真相をドラマチックに明かすので大好きです。
どちらの作品も観客にとって「納得できる楽しい裏切り」と余韻をしっかり感じさせてくれるので、スッキリした気持ちで観れるのかもしれません。


ちなみに、ラストの1カットは後から付け足したシーンだそうで、女優さんも上映後「アレ、(以前見た時とオチが)ちょっと違う?」と思ったらしいです。
監督さんいわく「実は彼女の家庭もカニバリストだった…というのが分かりにくいと言われたので付け足した」そう。
ちょっと荒っぽい付け足しでしたが、たしかにあのシーンがあると分かりやすいし、オバチャンの伏線?回収ができてスッキリしました。


今作に難があるとすれば、肉や臓物の映るシーンは「いかにも低予算だぜっ!」と思わせる作り物感がある所でしょうか。
でも気になったのはそのくらいでした。
私の姉は予告編でそのシーンを見て「グロい!」と引いていたので、グロ耐性が無ければ気にならないかもしれません。


映像も低予算映画にしては安っぽさもあまり無く綺麗だったと思います。
どうやらこれは「素晴らしいカメラマンさんの手腕によるもの」らしいのですが、今作を撮影した後このカメラマンさんはシネコン系の映画でも活躍するようになったそう。
「今頼もうと思ってもできなかった、タイミングが良かった」と監督が話していました。



というか、最終日のトークショーによればこの映画は実に「タイミングに恵まれた映画」だそう。
カメラマンさんの事もそうですが、上映に関しても…。


今作の公開日、11月29日(肉の日…)は『グリーンインフェルノ』という別のカニバリズム映画も新宿で公開だったのです。
(NAVERでも一緒にまとめられていた。)
しかも昨今、某巨人漫画とか、某グールとか、話題の事件とか…どこもかしこも人食モノが多い!
水面下で空前のカニバリズムブーム…?!


という流れの中での上映だったそうで…ほんと不思議。
ちなみに今作が作られた経緯を聞いたらさらにこのタイミングの良さに驚きます。



監督がガロで『娘味』を読んで映像化を考える

今から約15年前に一度8ミリで個人制作

(これはまた今のストーリーと違う部分があったらしい)

いつかちゃんと作り直したいと考え、今作を制作

8ミリ制作時点で著者に許可を得ようとしたものの、連絡がつかなかったので勝手に作ったとかなんとか。(いわゆる同人制作的な?)
まあガロ編集部のいざこざがあったタイミングだったのかな…?

2013年に完成

2015年に一般上映


…と、なんだか長い年月を経ての上映だったんですね。びっくりしました。
「ガロ」掲載から、2015年の良い肉の日に上映するまで約18年くらい経っている…。


しかし、私も偶然この映画を知ってこうして楽しく観れたので、出渋らなくてほんとに良かった。
久しぶりに大変まんぞく!な映画でした。