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静かなる決闘

映画

昨日のブログ見たら酔っぱらって変なことばっか書いてら…


朝から映画一本
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「静かなる決闘」
菊田一夫原作
黒澤明脚本、監督


戦中、軍医として働いていた医者の男が主人公。
前線での手術中の事故によって梅毒に感染し、婚約者との結婚も諦め、葛藤する…感じのお話。

ちなみに、主人公は童貞です。
童貞のまま傷口感染で梅毒に侵され、生来の潔癖な性分も災いして婚約者の将来を想った結果、渋々別れを切り出す。
病気を移されたはずの(どーしようもない)男にも治療を面倒見てやるほど理性的というか、聖人で童貞の医者です。

しかしやはり人間だもの。男だもの。
家庭を作りたかったし、好きな人ともヤりたかったよ!クソッタレ!
という葛藤は、この時代の名演と監督の手腕あってこその描写だろうと思う。

たぶん今同じ原作で脚本から書き起こしても、こう完成度のあるものにはならないだろうなと感じた。
演出と脚本も隙がないけど、とにかく画面の構図が美しくてカッコいい 。
ラスト20分の盛り上がりでは迫るようなカメラワークと人間の感情のぶつかり合いが相まって、退屈せず観賞後も満足感のある映画でした。
重い話だけどすっきり終わって良かった。


劇中に、「上を向いて、明るく生きていこうよ!」みたいなセリフがあったけど、こういうのって戦前と戦後の両方を生きた人間が言うとなんか説得力が断然違う気がするなあと見ていて思った。
この映画の製作年は終戦後4年ほどなので、製作陣は皆 戦争体験者でしょう。

国民全員が大なり小なり生きる不便を感じた妙な時代であり、この映画が発表された頃は皆、落ち込むのにも飽き飽きしていた時期なのではないかと思う。
皆同じに苦しんだからこそ、なおのこと映画というものの説得力も影響力も強い。の、だと思う。

特にこのお話は戦争中~戦後のお話なので、戦争さえ無ければこんなことにはならなかった、という極論が登場人物の心情から見え隠れします。

また、どんな奴だってひとりの人間だ!という意識が強いのもこの世代の人には多い気がする。
たかが人間されど人間!聖人でもないし獣でもない、でもその両方であったりもする。
そういう認識があるから、人としての理性と男としての欲求が得られない葛藤がこの主人公を苦しめている。

…男性の感想も聞いてみたい映画である。(._.)なんとなく


黒澤明の映画の中ではあまり高い評価を得たわけではない作品らしいけど、退屈はしない。
懐古主義じゃあないけど、やっぱり黒澤明は面白い作品を作る凄い人なんだなと毎度のこと思い知る次第です。