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ピアノの森

レンタルして読みきった!

めちゃくちゃ泣いた。
後半は完璧超人すぎる主人公の無双っぷりに少し興ざめする点も確かにあるんだけど、それでも泣ける。
なぜか登場人物と一緒に涙が出る。
キャラクターの表情が豊かで、泣き顔が綺麗すぎないのも良いのかもしれない。
とにかく盛り上げ部分で読者にも気持ちが感染してしまう。
ので、読んでいて楽しい。

そして何より、問題は必ず読者も納得できる良い方向へ解決するだろう、と安心して読める。
だから、「どうやって解決するんだ?!」ととても続きが気になった。


あと、一色まことの漫画すべてに言えるが…「少年への愛情」がひしひしと伝わってくる。
なぜかこの作者について「少年愛者」とか「ショタコン」とは簡単に言い難いので「愛情」と言うのがしっくりくる。
本当に、男の子というものをいとおしく描くなあ…といつも思う。

ピアノの森』の初期はまさにガキンチョ万歳!てなくらい少年への愛情に満ちていると思う。
そして成長して大きくなっていく過程を見ることで、さらに少年期をいとおしく感じるのだ。
(というか、連載に間があったとはいえ18年間も続いた作品なのだからリアルタイムで追ってた読者は本当に懐かしく思えるのではなかろうか…)


その初期に対して、中盤からラストに向けては阿字野との関係性が変わっていくのが感動的だ。
師弟であり、父親と息子であり、理解者であり、これからはライバルでもある。
カイは阿字野に救われ、阿字野もカイと一緒に過ごすうちに重い過去から抜け出せた。
どちらも一方的に恩を受けるだけではない所がとても良かった。
「自分の力で生きる」こと「人と支え合い生きる」こと、私にはくっさいありがちな感想しか言えないけども、こういう事を爽やかに描き切るのがやはり作者の手腕なのだろう。

26巻で「阿字野はもう自由だよ」というセリフが出てくるが、これがもう本当に胸を打つ…。
25巻までは阿字野がカイを自由にするために動く話だ。
反して26巻は、カイが阿字野を自由にするために動く話だ。
子供はもう与えられるだけじゃなくなった、自分と同じ場所に立つようになったのだ…と親目線の感動でいっぱいの最終巻だった。





そしてここからは非常に俗な感想なのだが、この作品が腐女子の餌食にならなくて本当に良かったと思う。
調べたら一部でイラストなんかが出てくるが、節操無いお祭り騒ぎのように食い荒らされてはいないようで安心した。
私もBLや耽美系が好きな同類だが、この作品は腐女子の喜ぶネタが多すぎるので読みながら不安な所があった。

初期は本当にショタコン腐女子のツボを突いてくる要素が多かったと思う。
悲劇的な境遇で、女の子のように中性的な綺麗な顔をしている主人公。
オッサンに尻を狙われて逃げ、森の中でノーパンTシャツ1枚でピアノを弾いてたり
ちょこちょこ女装を挟んできたり…
ショパコン以降は読んでいて大量のカップリングが作られそうでヒヤヒヤした。

完結前に実写化の話があったものの頓挫したらしいが、実現されなくて良かったと思う。
絶対別物になるだろうし、すでにアニメ映画があるから十分だ。
爽やかな気分になりたい時にはぜひ一色まことの漫画をお読みください。